土木構造物

土木分野における新たな取り組み

土木工事における高炉セメントの使用事例

高炉セメントは、1)耐海水性や化学抵抗性が大きく、塩化物イオンの拡散係数が小さい、2)アルカリシリカ反応の抑制効果がある、といった特長があるため、様々な自然環境に直接、暴露される土木構造物に多用されてきました。
一般的に、発注する官公庁の共通仕様書・特記仕様書等では、セメントの特性やコンクリートの要求性能を考慮し、以下のような使い分けがされています。

セメント種類別適用工種の例

東北地方整備局におけるRC床板への高炉セメント活用事例

上記適用工種の表に示す様に、これまで橋梁上部工の施工は、初期強度発現の観点から普通セメントや早強セメントの使用が一般的でした。
一方、東北地方整備局では凍結防止材散布による塩害で床版の早期劣化が顕在化していたことから、各種施工試験を重ね「東北地方におけるRC床版の耐久性確保の手引き(案)」を制定しました。ここでは、塩害やアリカリ骨材反応抑制の観点から混合セメントの活用に加え、以下の配合条件を採用することで、寒冷地における高耐久性RC床板の施工を実現しています。

配合条件

  1. 凍害対策ではAE剤を用いて、凍害に有効なエントレインドエアを確保するものとし、融雪剤の散布量に応じて空気量を4.5~6.0%の範囲で調整する。
  2. 塩分環境下のASRを防止するため、高炉セメントB種、または普通セメントにフライッシュを混入したものを用いなければならない。なお、フライアッシュを混入する場合は、セメント量一定のもと、20%程度の混和材として 使用することを基本とする。
  3. 床版コンクリートの緻密性を確保するため、水結合材比(W/B)を45%程度とする。
  4. 床版のひび割れ抑制対策として膨張材を用いることを標準とする

土木学会の温暖化対策をめぐる動向

温暖化対策として、各種高炉セメント使用のニーズが高まったことから、土木学会は以下の仕様書の改定を実施しました。

年度 改訂内容
2018 高炉スラグ微粉末を用いたコンクリートの設計・施工指針
⇨高炉セメントの JIS に規定される高炉スラグ分量の範囲内を対象
:混和材を大量に使用したコンクリート構造物の設計・施工指(案)
⇨混合セメントのJISに規定される混合材の分量を超える配合に適用
2022 コンクリート標準示方書(設計編)
⇨温度応力解析に必要な圧縮強度の推定式や断熱温度上昇式の各定数として、高炉セメントC種の標準値が追加
2023 コンクリート標準示方書(施工編:目的別コンクリート)
⇨「5章:混和材を多量に使用したコンクリート」が新設され、混合セメントJISの混和材使用量の上限を超える結合材の仕様を規定